大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和29年(行)1号 決定

原告 山田禎一

被告 最高裁判所(裁判官会議)

主文

本件を東京地方裁判所に移送する。

理由

本件訴状によると、原告は当裁判所に対して被告並びに大阪高等裁判所(裁判官会議)を相手方として、まず相被告に対して、

(一)  大阪高等裁判所第五刑事部がなした同裁判所昭和二六年(お)第二号再審請求事件の申立棄却の決定に対して、原告が同年七月二〇日同裁判所に提起した異議申立事件を同裁判所第四刑事部が抗告の提起と誤解し、右事件を最高裁判所に送付したことを違法無効な司法行政上の事務取扱であるとなし、現に右事件が大阪高等裁判所に係属していることを前提とし、前記大阪高等裁判所第四刑事部の事件送付の無効なこと、大阪高等裁判所に右事件が現に係属し原告と同裁判所との間に刑事訴訟関係が存続していることの確認と右事件の審理の再開を求め、且つ被告及び右相被告に対し(一)最高裁判所第三小法廷が右事件(同裁判所昭和二七年(し)第八一号事件)につき昭和二八年二月一〇日付なした抗告棄却の決定、これに対する原告の異議申立事件(同裁判所昭和二八年(す)第六八号事件)について昭和二八年三月一〇日なした棄却の決定の無効確認を求め、

(二)  又原告が大阪高等裁判所第四刑事部の前記事務取扱の是正と前記再審申立棄却の決定に対する異議事件の審理の促進を求める趣旨で、大阪高等裁判所(裁判官会議)に対してなした裁判所法第八二条の不服の申立に対する同裁判所(裁判官会議)の昭和二八年四月一三日付訴願却下の裁決及びこれに対し原告が被告に対してなした裁判所法第八二条の不服申立に対する昭和二八年六月二七日付再訴願却下の裁決の各無効なことの確認を求めるというにあつて、原告は無効確認を求める対象をいずれも行政処分と見て本訴を提起したこと明かである。

行政庁を被告として行政処分の無効確認を求める訴訟は公法上の権利関係に関する当事者訴訟ではあるが、行政処分の効力を争う点では抗告訴訟と共通の性質を有するものとみて、これについても抗告訴訟に適用される行政事件訴訟特例法第四条を準用して管轄を定めるを相当と解するから、被告に対し無効確認を求める本訴請求部分は被告の所在地の東京地方裁判所の管轄に専属するところで、大阪高等裁判所(裁判官会議)を共同被告として本訴を提起していても、又無効確認を求める対象が両者共通であるとしても当庁に管轄を生じないこと民事訴訟法の規定に照して明かである。

よつて民事訴訟法第三〇条を適用して主文の通り決定する。

(裁判官 中島孝信 細見友四郎 芦沢正則)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例